導入事例
GRANDITを用いて新しい原価計算方式の導入や旧システムにおける様々な課題を解決
豊田通商グループのIT全般を支えている豊通シスコム様。
基幹システムの構築、様々な業務アプリケーションの導入、DXの推進など幅広い領域を手掛けています。旧基幹システムで発生した課題の解消や、新しい経営上の要件を達成するため、GRANDITを導入した事例をご紹介します。
1.導入の背景
豊通シスコムでは、基幹システムにいくつかの課題がありました。安全に改修していくことが重視されているため、特殊な要件や迅速な変化への対応は難しい状況でした。基幹システムは、本来であれば経営を支えるはずのシステムです。しかし、新しい要件が発生するたびに膨大な時間とコストをかけて改修しなければならず、逆に経営を制限してしまっている部分がありました。
豊通シスコムが抱えていた具体的な課題や要件について解説します。
システムの老朽化
もともと利用していた会計システムは導入時から10年以上経過し、老朽化しており、2021年4月にはEOSLを迎えサポートが終了していました。また、システム間の連携や月締めの作業を手作業で行っていたため、リアルタイムな更新ができないことや、メンテナンス費用の増大も課題でした。
社内事情による保守運用の負担
2019年4月の分社化に伴い、自社で開発および運用を手掛けていた販売システムが、分社先の企業で運用されることになりました。新しい要件が出るたびに発注が必要となるため、迅速な要件対応が困難な状況でした。また、法改正対応や組織変更が発生する度に、運用コストも膨れ上がっていました。
業務システムが独立していることによる使いづらさ
会計システムと販売管理システムは、それぞれ完全に独立したものであったため、ユーザーから見るとユーザーインターフェースや仕様に統一感がなく操作しづらいという課題がありました。また、システム間のデータ連携に関する操作も煩雑化していました。
既存の原価計算方式に対する課題
旧システムで採用していた原価計算方式には、仕組み上の課題がありました。実際原価計算方式で運用しており、案件ごとの採算が把握しづらい点です。そのため、経営側から、事前に設定したSEの標準単価を基に案件ごとに原価を管理する標準原価計算方式への変更を求められていました。
このように、旧システムには運用面、業務面でさまざまな課題があり、新システムを導入することになりました。
2.システム導入時の対応
豊通シスコムのプロジェクトにおいて、GRANDITを選定した理由や、導入時における課題と解決策、プロジェクト中に苦労した点について、紹介します。
選定理由
システム刷新が決定したあと、豊通システムは4社にRFPを出しています。検討の結果、GRANDITが採用されました。コンソーシアムの中で今後も進化していく製品である点に魅力を感じたことや、RFPで出した機能要件に対して機能面の適合率が高かったことが主な選定理由です。
導入時における課題と解決策
今回のシステム導入は、短い期間の中で少数精鋭で対応する必要があったため、機能要件は最小限に抑え、ユーザーからキリなく要望があがってくる状態にならないよう注意して進めました。また、それまで2つに分かれていたシステムを1つにするという運用面の改革を伴うことから、早い段階で管理職、現場の担当者の方々に参画いただき、早めに情報を共有していけるように努めました。
プロジェクトを進めていく過程では、以下のような難題も発生しています。
- プロジェクト期間中にコロナ禍に入ってしまい、最初はリモート会議に不慣れであったため推進しづらかった
- プロジェクト中に分社化されることになり、一時的にシステム導入にストップがかかってしまった
- データ移行の際に仕様漏れがあることが発覚した
工夫・苦労した点
プロジェクト内外からの影響を受ける形で様々な問題が発生しましたが、べニックソリューションの過去のノウハウや経験をもとにGRANDITの導入を推進しました。また、関係者全員が同じ方向を目指せるよう、建設的なコミュニケーションを心がけたこともポイントです。全く新しいシステムになり、原価計算方式も変わるため、管理職や現場の方々にとって大きなインパクトのあるプロジェクトでした。特に原価計算方式の変更に関しては、社内で反対意見もありました。しかし、会社としては標準原価方式を導入したい強い意志があったため、関係者に対して丁寧に説明し、最終的には予定通りカットオーバーを行うことができました。費用面に関しても、運用回避やローコストな提案などで柔軟に対応し、当初見込んだ金額の範囲内で達成しています。
3.導入後
豊田通商グループ独自のプロジェクト基準として用意されている評価方式を用いて、QCDの観点でのプロジェクト評価も行っています。社内ではIT関連の大規模なプロジェクトも多く、品質、納期、コスト面は厳格に管理される仕組みがすでに構築されています。ベニックソリューション側も、同じく用意された基準に従い、フォームに情報を入力していく形で評価を行いました。その結果、基準をクリアでき、社内からシステムの品質やプロジェクトの進捗を懸念する声はあがりませんでした。
GRANDIT導入の効果として、主に以下の点が大きく評価されています。
販売システムのデータをリアルタイムで会計システムに連携
もともと別のものだった販売システムと会計システムがGRANDITに統一されたため、データ連携が不要になりリアルタイム性が格段にあがりました。計上結果の確認、支払・入金が即時で行えるようになっています。現場で確認した結果、月締めの作業が従来よりも半日から一日近く時間を短縮できるようになりました。
ユーザーインターフェースの統一
販売と会計のシステムを一つにまとめることで、ユーザーインターフェースが統一されシステムの操作性や視認性の向上につながりました。ユーザーからも高い評価を受けています。
情報漏洩やコンプライアンスリスクの軽減
アドオン開発により、与信管理の強化や下請法に関する要件についても対応可能となっています。旧システムと比較して、データの取り扱い部分を大きく改善され、情報漏洩やコンプライアンスリスクのを軽減することができました。
4.今後の展望
豊田通商グループをITで支える企業として、グループ内部で最初に頼りにされる存在になりたいと思っています。豊田通商グループの基幹システムへの大規模投資開発は一段落しており、今後はより細かいビジネス要件への対応にシフトしていくでしょう。顧客ニーズを汲み取り、日常業務における課題や潜在的な問題に対して、ITの力で解決していきたいと考えています。
GRANDITでは日々の受発注、案件別の工数、利益率、顧客ごとの取引など様々なデータを管理しています。今後はGRANDITをBIシステムとしても利用し、管理されているデータを経営面でより有効活用していく予定です。
5. ベニックソリューションとしての取り組み
ベニックソリューションのメンバーのもと豊通シスコムのプロジェクトに参画し、協力してGRANDITの導入を行いました。
お客様のコメント
今回ベニックソリューションさんとは初めての取引でしたが、数多くの導入実績があり、迅速かつ柔軟な対応で、不安なく進めることができました。要件に対して運用で回避できるなどローコストな提案や、標準原価計算の箇所でのコンサルティング要素の対応などもあり、大変助かりました。
また、カットオーバーの際にはデータ移行の部分で仕様漏れがあり、社内でシステムに対する問い合わせが多くなりましたが、改善案の提案や柔軟にフォローアップしていただけました。
境界線を作らずに、一つのシステムのカットオーバーに向けて、ワンチームで協力いただけたおかげで、予算内で収めることができ、満足しています。
今後はGRANDITで管理しているデータを経営面で有効活用していきたいと考えておりますので、引き続きアドバイスや提案をしていただきたいです。
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